習慣性流産治療・不育症

3回以上の流産を繰り返すのが”習慣性流産”です。

治療の前に以下の習慣性流産の診断検査が行われます

習慣性流産とは、妊娠 20週以前で 3回以上の流産が起きるてしまう事を言い、妊娠の約15%に起こる最悪な合併症とされています。その割合は凡そ妊婦の全体の約 1-2% 位に知られています。 習慣性流産の原因は一般的に染色体異常胎児(胎児側の染色体異常)で遺伝的要因・ 解剖学的要因・ 免疫学籍要因・血液凝固障害・ 内分泌学籍要因・ 感染要因,・環境要因で分類することができ、これらに当てはまらない原因不明が 50% 位を占めています。
また、流産が良く起こりやすいのは約80%が妊娠12週までに起こり、女性だけでは無く男性にも原因がある場合があります。「不育症」とは、自然に妊娠はしても、胎児が育たずに流産や早産・死産になってしまう病気の事を言います。同義語として「習慣性流産」があり、『習慣性流産とは、3回以上流産を繰り返すこと』と定義されています。その確率は約2%の頻度と推測されます。

習慣性流産治療・不育症

 

<流産の主な要因と検査>

  1. 抗リン脂質抗体症候群:ヒト細胞膜を組成する成分・リン脂質に対して後天的に出来る抗体検査:ホルモン検査
  2. 内分泌異常:黄体ホルモンの異常・甲状腺の異常・糖尿病・副腎機能異常・プロラクチンの異常・エストロゲンの異常検査:血中の抗リン脂質抗体測定
  3. 血液凝固機能異常:第ⅩⅡ 因子、APTT異常など検査:ⅩⅡ因子・ⅩⅢ因子の測定・APTT・PT・フィブリノーゲン
  4. 子宮異常:子宮奇形(双角子宮・中隔子宮など)子宮筋腫・子宮内ポリープなど検査:超音波検査・子宮卵管造影・CT・MRI
  5. 染色体異常:ご夫婦のどちらかが染色体異常がある場合(夫婦の内どちらかが保因者の場合や家系に要因がある場合などは、一定の確率で流産や早産を起り易くなります)検査:夫婦の染色体検査
  6. 感染症:梅毒・トキソプラズマ・クラミジアなど検査:血中の抗原検査
  7. 免疫的異常:血液型不適合妊娠、自己免疫性疾患検査:血中抗核抗体・抗DNA抗体・抗SS-A抗体・抗PE抗体の測定
  8. その他:心疾患・慢性腎炎・血液疾患・遺伝病など
  9. 原因不明:50~60%
  • 超音波検査
  • 卵胞刺激ホルモン、エストリオール検査
  • 子宮卵管造影検査
  • ホルモン検査:甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモン
  • 抗リン脂質抗体検査:抗カーディオイドリピン抗体検査、ループス抗凝固検査、抗糖蛋白質抗体検査
  • 血液凝固検査(antithrombin III、Protein C、Protein S)
  • 夫婦染色体検査
  • ナチュラルキラー細胞検査
  • 遺伝子の突然変異検査(Factor V Leiden、Prothrombin、MTHFR)

習慣性流産治療

1. 遺伝的要因

染色体の異常が発見された場合、正常でない胚芽を選別する為に着床前の遺伝的診断 (Preimplantation Genetic Diagnosis) を通して判断の後、姙娠を試みます。
すなわち受精卵から 1-2個の細胞を引き離して遺伝子を検証し、正常染色体を持つ受精卵のみを選別して移植する方法です。

2. 解剖学的要因

子宮奇形や子宮内癒着などは子宮内視鏡を利用した手術的治療が可能です。

3. 免疫学籍要因
ヘパリンとアスピリンは者が抗体による子宮血管の血液凝固を抑制する効果があることに報告されています。姙娠が確認された瞬間から治療を始めて分娩時点まで治療をしなければなりません。治療の成功率は 70-80%に報告されています。

免疫グルロブルリンは胎児殺害細胞の活性を抑制する機能があることで明かされています。
高濃度プロゼステロンは白血球によるさまざまな胎児の毒性物質生産を減らすのに効果的な治療方法と知られています。

4. 血液凝固障害要因

高容量葉酸, ヘパリン治療

5. 内分泌学籍要因
糖尿病がある場合治療を受けて血糖が調節されていなければなりません。
甲状腺機能低下証の場合も姙娠の前に正常範囲の甲状腺ホルモン濃度を維持しなければなりません。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合はインシュリン抵抗証を調節してくれる薬物治療が必要な場合があります

6. 感染要因
生殖器感染がある場合病源菌培養検証を通じて適切な抗生剤療法が必要です。

7. 原因不明
原因不明の習慣性流産はまだ知られていない免疫学的な原因と考えられ、黄体ホルモン投与・ 葉酸服用などの治療をします。